お客様の声
2009/08/20また建築をつくりたい/ナノ・アソシエーション代表:鶴市知世さん 対談05
東麻布2丁目プロジェクトのクライアントであるナノ・アソシエーション代表取締役 鶴市知世さんの建築をつくられた経験談を掲載してまいりました。今回は最終回として”自分で建築をつくる”という経験をされたご感想と、ご自身の考える今後の建築とのかかわりかたについてうかがいました。

projet JAPON(以下『pJ』):自分で建築をつくるよりも、出来合いを買った方がよかったと思ったことはありますか?
鶴市さん(以下『鶴』):全くないです。買った方が時間的には楽だったりするけど、一度建てることの面白さを知ったらやめられません。次も建てたいなと思います。例えば古いビルを買ったりしても、全部リノベーションしてつくりたいですね。つくるプロセスのソワソワ感も楽しみの一部です。
pJ:建築にはいろいろな人がいろいろな立場で関わってきますね。
鶴:そうですね。今になってみればあの時こういう風に言えば、こう変わったんだろうなとか考えたりもします。もっとこうしたかったということも含めて不自由が次の楽しさになればよいのではないでしょうか。不自由な部分は出来合いのものを買っても絶対にあるじゃないですか。どうせあるんだったら、建てて楽しい方が絶対に面白い。それに楽しみを共有できるプロデューサーや建築家や工事会社が身近にいて、一緒につくっていけるのもいいですね。不動産ディベロッパーやハウスメーカーが悪いとは言わないけど、1回だけの付き合いになることも多いじゃないですか。こうして一緒につくることによって、例えば最初はお風呂をつくるお金がなくても、今はお金ができたからお風呂つくってくれない?とか。建築にはそういう楽しさがあっていいと思います。
pJ:確かに人間同士の関わり合いという部分にも、つくる面白さはあるかも知れません。出来合いのものだと商品を売った人、買った人という立場ですからね。一緒につくるというのはそれとは全然違う次元の関係ですね。
一方で建築をつくることを楽しむコツみたいなものもあるような気がします。一生に一度の買い物だから失敗は絶対にしたくないという気持ちばかり強くなると、つくる楽しさは減ってしまうのかも知れません。
鶴:私は、今この時に最適なものを考えるのがいいと思います。結婚するとか子供を産むとかいうことは不確定な部分もあるから、その時その時を過ごすのに最適な建築があっていいんじゃないかと。予定が変わって1年後に家族が増えたり減ったりしたら、それからどうすればよいか考えるというくらいの方が楽しい建築ができるのではないかと思います。
東麻布2丁目プロジェクトについてはこちらをご覧ください。
2009/08/10プロデューサーに期待すること/ナノ・アソシエーション代表:鶴市知世さん 対談04
東麻布2丁目プロジェクトのクライアントであるナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世さんにプロデューサーと建築をつくった経験談をおうかがいます。第4回の今回は「プロデューサーに期待すること」についてうかがいました。

projet JAPON(以下『pJ』):建築家との関係において、プロデューサーの存在はどんな効果がありましたか?
鶴市さん(以下『鶴』):建築家の考えは基本的にテクニカルな感じがします。もちろんよいと思って設計してくれていると思うのですが、私の希望をいれたくて、でももう少し・・・という難しい部分もあります。プロデューサーがいることによって建築家の専門的な説明では分からなかったことが聞けたり、相談できたりしたのがよかったです。
また、もう少し工事金額を下げなければいけないとなった時に、建築家からのアイデアだけでなく、プロデューサーからもアイデアがでたことによって選択肢が増えました。
pJ:セカンドオピニオンとしてのプロデューサーですね。
鶴:そうです。私は建築家が友人でもあったのであれこれ言えましたが、一般的には言えないこともあるのではないかと思います。また建築家にもやはり得意不得意があるでしょう。プロデューサーが一歩踏み込んで、クライアント自身が自分でもうまく表現できないような要望を引き出してくれて、建築家に伝えるようなことまでしてくれるとさらによかったとは思います。
pJ:工事会社を選ぶプロセスでのプロデューサーの関わり方はいかがですか?このプロジェクトでは見積りを3社のゼネコンに依頼した結果、当初の計画では金額があわず、最終的にはプロデューサーが値引き交渉をして契約に至るという流れになりました。
鶴:それは進め方として仕方がなかったと思います。ただし見積りを依頼するタイミングで、設計者の計画した条件では予算に合わない事があらかじめ分かっていれば、もう少しストレスがなかったと思います。予算オーバーと思われる部分を指摘するなど、もう一段手間を減らすような提案があったらよかったですね。私は設計者のつくる図面は金額的にも正しいものだと思っていたので、単純にゼネコンから予算オーバーの見積書だけがあがってきて、何をどうすれば金額が合うのかも示されない状況が続くと、結局法外な見積りを見るためだけに膨大な時間を費やしたことになってしまいます。
pJ:他のプロジェクトでも時々起こる問題です。第一に設計者はクライアントの基本的な要求条件である「予算」に見合った計画をする役割があります。ただし建築材料や施工手間の金額的な相場に関して十分な情報を得て、コストをコントロールするという観点では、建築家の経験や能力によって、さらには工事をする時の経済状況によって差があるのが実情です。実施図面の見積りの前に、基本設計段階で工事会社に見積書を出してもらうという対応が現実的でしょうね。
鶴:そうですね。そこにさらに手間をかければよくなる気がします。
もうひとつは私の要望がドキュメントになっていて、それが実現されているかどうかの確認をプロデューサーがやってくれたら私自身にもブレが少なくなっていいと思います。
pJ:要望をプロデューサーがリスト化して、竣工する時にその1つ1つが達成されているかをチェックするというようなことでしょうか?
鶴:仮に達成されてなくても、ドキュメントになっていれば「○○はコストが合わなかったからできなかった」とか「それは確かに私が言ったことだった」などと本人も納得できると思います。
pJ:建築をつくるにあたって実現したいことを明確にして、できる限り多くを達成する。仮に実現されなかったものがあれば、なぜ実現されなかったのかをハッキリさせるということが、プロデューサーの役割としてあった方がよいという要望ですね。
鶴:そうですね。私はその付加価値はすごく高いと思います。それによって満足度が高くなるだろうと。これを建築家に期待するのは無理だと思います。そういう意味でも建築プロジェクトにプロデューサーは絶対いた方がよいと思っています。
>次回の最終回は、プロジェクトを振り返って今後の展望をお伺いします。
2009/07/31建築家とすすめる設計/ナノ・アソシエーション代表:鶴市知世さん 対談03
東麻布2丁目プロジェクトのクライアントであるナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世さんにプロデューサーと建築をつくった経験談をおうかがいます。第3回の今回は「建築家とすすめる設計」についてうかがいました。
projet JAPON(以下『pJ』):プロジェクトに取り組む前に、実現したい建築のイメージはありましたか?
鶴市さん(以下『鶴』):建築家に任せていたので、特にありませんでした。あれこれオーダーしたくないという思いが私の中にあったんです。
pJ:それはなぜですか?
鶴:自分は一度もつくった経験がないのだからオーダーのしようがないと思いました。
pJ:人を決めて任せるという感じで、特にこだわって指示したわけではないのですね。
鶴:こだわりはないです。個人的な意見ですが、自分自身がすごくこだわる人は建築家と建てるのにはあまり向いていないような気がします。こだわりがある人は打ち合わせでも、本棚が欲しいとかキッチンが大きいほうがよいとか、そういうレベルの話をしていると思いますが、私はそういうことは、建築をつくるうえで小さい話だと思っています。
建築は建築家の作品でもあるし、私が所有している作品でもあるわけです。
また私には一生涯ひとつの建築を使うという感覚がもともとありません。自分の生活スタイルに応じて、不便を感じればまた違う方法を検討すればいいと思っています。ただし次につくるときは今回の経験がひとつの基準になるとは思います。
pJ:実際に仕事で使ってみたり、住んでみたりしてはじめて感じた問題点はありますか?
鶴:使い勝手で思うことはあります。例えばこの扉は引き戸にしてもらったらよかったなとか。でも、不便なことは次につくる時には判断のベースになるから。何も問題を感じなかったら、別に新しい場所がなくてよいわけです。手狭になったからとか、より便利な新しいところが必要だと思うのは、そのときの前提になる今の基準があるからだと思います。
pJ:ご自身の日常の仕事と並行して建築プロジェクトをすすめるには、時間を確保できないという問題はありましたか?
鶴:普通に建て売りの新築物件を買うのに比べるとミーティングは多いと思います。建て売りの家やマンションを買うときはせいぜい床材やキッチンを選ぶぐらいですよね。
pJ:数パターンから選ぶ感じですね。もう少し分かりやすくパターン化されたものから選ぶような方法が好ましいと思われましたか。それとも大変でも今回の方法がよかったでしょうか?
鶴:結果的にはこのプロセスは面白かったですよ。私はあまり悩むタイプではないので楽しくすすめられました。悩むタイプの人は大変かも知れません。

>次回は「プロデューサーへの期待」についてお話をおうかがいします。
2009/07/09土地を探して買う/ナノ・アソシエーション代表:鶴市知世さん 対談02
東麻布2丁目プロジェクトのクライアントであるナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世さんにプロデューサーと建築をつくった経験談をおうかがいます。第2回の今回は「土地を探して買う」プロセスについてうかがいました。
projet JAPON(以下『pJ』): 土地を探すプロセスは「どのエリアが仕事場として適しているか」というところから始まりましたね。はじめは秋葉原あたりがよいというお話もありましたが・・。
鶴市さん(以下『鶴』): どこでもよかったのですが、何となく東京の東側がよいなと思っていたんです。もともと会社があった月島とか、でなければ日本橋とか。ここまで都心に引っ越してくるイメージはなかったです。
pJ: 一方で特定のエリアに対するこだわりは特になかったわけですね。
鶴: そうですね。
pJ: 現在の東麻布の土地にしようと決めてからは、ほとんど現地をご覧にならなかったように記憶していますが・・。
鶴: プロデューサーが金融機関との交渉をしてくれた結果、融資可能ということでした。返済の不安もあったけれど、逆に金融機関が貸せるわけだから土地の価値は確かにあるのだろうという安心もありました。私にできることは手元資金を用意するということだけだったので、プロジェクトの全体計画をしてくれるプロデューサーがいて、その内容を確認して銀行がOKしているならば、エリアはどこでもよいかなと。もう少し郊外だったらもっと広かったかもしれないし、安くて借り入れが少なかったかもしれないけど、この場所だから高く評価してもらって資金を借りられた部分もあると思います。
pJ: 実際に移ってみての感想はいかがですか。
鶴: 結果的には仕事場として使ったり住んでみたりしたところ、都心なのに静かで本当によかったと思っています。私たちの仕事では地方や海外にいくため浜松町駅や東京駅へのアクセスは重要です。ここからはどちらにもすぐ行けるし、交通便がよくなって会社に来てくださるお客様も増えました。

pJ: 土地を買うのは初めての経験だったと思うのですが、不安はありましたか?
鶴: 不安はなかったけれど、銀行で売主や様々な人々と顔をあわせての手続きはストレスでした。会わなくて済むならその方がよかったですね。あの手間は面倒でした。
pJ: 土地代金の決済のことですね。確かに本人が手続きをしなくて済むように不動産媒介業者がいたり、司法書士がいたりするわけですから絶対に会わずに済ますことが不可能というわけではないのですが、私の経験上は本人確認法などもありますし、何より実際に自分の眼で見て確認したいというクライアントの方が多いです。 融資手続きの手間についてはどう感じましたか?
鶴: それは仕方ない手間だとは思います。銀行がもっとメールを使ってくれたら楽だとは思いました(笑)。
>次回は「建築家との設計プロセス」についてお話をおうかがいします。
2009/07/02建築プロジェクトを始めるきっかけ/ナノ・アソシエーション代表:鶴市知世さん 対談01
東麻布2丁目プロジェクトのクライアントであるナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世さんに5回のシリーズでプロデューサーと建築をつくった経験談をおうかがいます。

projet JAPON(以下『pJ』): 建築のプロデュースという仕事やプロデューサーという存在を知ったきっかけは?
鶴市さん(以下『鶴』): 建築家から紹介されました。たまたま食事会をした時にメンバーに建築家がいて、土地を探してビルを建てたいという話をしたら、知り合いに地上げ屋?(笑)がいるので紹介しますって。
pJ: 地上げ屋とはかなり違いますが・・・(笑)。その時は自社ビルをつくるというイメージでしたか?
鶴: あまり具体的なイメージはなかったけれど、もともといつかは自分で何か建てたいというのはあったんです。仕事場も欲しいし、住むところも欲しいし。
pJ: プロデュース契約をした時、プロデューサーがどういう仕事をするか分かっていましたか?
鶴: 正直、分かっていませんでした。
pJ: プロデューサーからの説明が不十分だったでしょうか?
鶴: そうではなく、建築をつくるって普段は経験するものじゃないから、経験則が成り立たなくて想像できませんでした。車を買うなら、初めてでもディーラーに行けばカタログを見て買える。建て売りの家やマンションを買うのも現地やモデルルームに行けばモノがあって、住宅ローンの銀行を紹介されたり、頭金が必要か相談したり。その程度は大体想像できるじゃないですか。流れに乗っていけばよいだけですよね。でもゼロから自分で建てるために測量を依頼したり、銀行で土地の決済をしたりしなければいけないというのはありきたりの日常生活では起こらないことだと思うんです。
pJ: 一般の人にとっては自分ですべてできるという認識はないでしょうね。
鶴: ないです。私の場合、土地も持ってなかったし、さらに建物を設計して、となったのでカタログや広告で選ぶような車やマンションとは全然違いました。プロデューサーという仕事がピンとこなかったという以前に、土地を買う、建築家と設計の打ち合わせをする、工事をして建てるということすべてがピンときていない状況でした。
pJ: 何だかよくわからないけど、とにかくまずはスタートをきろうという感じだったのですね。
鶴: そうです。どれもよくわからないで始めたけど、やらなければいけないことをプロデューサーがコントロールしてくれるという状況になり、逆にプロデューサーが教えてくれるから、土地や銀行を探すプロセスでもこんなにもやらなければいけないことがあったんだということに気づきました。私自身は設計を建築家に頼んでみようということ以外は何も考えてなかったので。やってみて初めて建て売りやマンションはそのやらなきゃいけないことも全部込みの価格だからあれだけ値段が高いんだなと・・・。
pJ: そのうえ商品を売るための広告宣伝費も価格に転嫁されますからね。
>次回は「土地を探して買う」というプロセスについてお話をおうかがいします。
2009/05/20プロデューサーとつくるということ_掲載予定/ナノ・アソシエーション代表:鶴市知世さん
東麻布2丁目プロジェクトのクライアントであるナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世さんにシリーズでお話をおうかがいます。実際に建築プロデューサーとしてprojet JAPONを活用して感じたことや忌憚のないご意見をありのままに紹介していきたいと思います。すでに建築プロジェクトにを取り組んでいる方々や、これからプロジェクトに着手したいと考えているみなさまにも参考になれば幸いです。ご期待ください。


